ヘイ、ブラザー元気か?
俺の方は今にも風邪をひきそうな状況だ。
突然だが、俺は今池の中にいる。上に見えるのは桟橋のようなもの。
その影になるような場所で俺はぷかぷかと浮いているのだ。
なぜだかは聞かないでくれ。俺のほうが知りたい。
気がついたらこんな所に居たのだ。
一重に死ななかったのは俺の悪運のせいだろうか?
気絶したら、普通人間は沈むものなのだが、俺の襟首が桟橋の出っ張りに引っかかっているものだから、何とか窒息せずに起きられたというものだ。
だが、春とはいえ、まだ水は冷たい。このままでは凍死してしまうこと間違いなしだろう。
早く桟橋に登らなければ。
そう思うものの上には上がれない。いや、上がりたくない。
なぜなら橋の上から人が争う声が聞こえるからです。はい。
しかも、その当事者の声を俺はすさまじく知っている。
この声は間違いなく少年とツインテールのものだろう。
ああ、上がりたくない。いっそこのまま向こう岸まで泳いでやろうとも考えたのだが、そういえば俺って泳げないんだよね。
ということは、この襟首が俺の命綱なんでしょうか?
なんとも頼りなさげな命綱だ。
さっさと桟橋に掴まったほうが身のためだろう。
そう考えると俺はがっしりと桟橋の脚をつかむ。
その時、不意にビリッという音が聞こえたんですが、もしかして襟首が破れたんだろうか?
健介君は一般生徒です。第七話
上がりたいけど、上がりたくない。
このパラドックスは何?
思わず哲学に走ってしまいそうなのだが、そんなことをしている暇はないような気がする。
死か厄介事の二択を突きつけられたとき人間は動物である以上、後者を選ぶ終えないのだ。
くそ、俺は絶対に平穏な老後を迎えて見せるんだ!
そう意気込み、腕に力をこめて上り始めるのだが、程なくして頭上の橋が砕けました。
はい?
突然の事態に思わず言葉がでそうになる。
おそらく上の少年達がやったことなのだろうが貴様ら何考えてやがる!
公共物の破壊は立派な犯罪なんだぞ! この橋が私物か公共物はしらないがな。
だが、そんなことはどうでもいい。今はっきりと分かった。
早く上に上がらないと俺は死ぬ。
火事場のくそ力という言葉が示すように、人間ピンチになると力が出るものだ。
俺は生きるために橋を上る。その速さは並ではない!
ザクとは違うのだよ。ザクとは。
今の俺なら世界を狙える。
そう思い橋を上り続けるのだが、体がだんだんと重くなってくる。
くっ、なぜだ!
坊やだからさとかいう落ちは期待してないぞなんて思いながら足元を見れば、なんか体が石になってるんですが。
「!」
声にならない叫びを上げる。助けを求め伸ばしたては橋の上にある何かを掴み、俺は意識を手放した。
アスナさんの力を借りることによって、僕は魔力パンチを相手に入れることが出来た。
しかし、それで決着がついたと思ってしまったのが悪かったのだろう。
「…体に直接拳を入れられたのは… 初めてだよ ネギ・スプリングフィールド」
彼は声と共に僕に殴りかかってくる。
「!」
しかし、その動作は拳を放つ寸前に止められた。彼の視線の先をたどれば、誰かが彼の足を掴んでいる。
それは石になってしまった人間だった。その顔は見たことがある。
間違いない。あれは……
「健介さん?」
自然と言葉が口から漏れた。それは確かにあの時風の中に消えた健介さんだった。
石になってしまったその表情はとても必死な顔をしていた。
恐らく、本当に最後の力を絞って僕を助けてくれたのだろう。
こんな姿になってまで僕を助けようとしてくれた彼にどう感謝をすればいいのか分からない。
しかし、今はそのことを考えている場合ではない。
健介さんの思いを無駄にしないためにも、目の前の相手を倒さなくては。
僕は目の前の相手を見るが、彼と僕との間には突然エヴァンジェリンさんが現れた。