プロローグ
今日もまた俺は自分の持つ魔道書を読み続けていた。
自分の汚いところを隠すように。そこから目を背けれるように。
少しでもアリサに胸の張っていられる自分に戻ろうと、彼女の願いを叶えようとリィンフォースを助けるための方法を探しているのだ。
時の庭園でのことは未だにアリサに話せていない。その勇気が今の俺にはなかった。もし、リィンフォースを助けることが出来るのであれば、俺はその勇気をもてるような気がする。
いや、違うな。俺はリィンフォースを助けることで、時の庭園での罪を帳消しにしたいと考えているのだ。
だが、リィンフォースを助ける方法は未だに見つかっていなかった。そのことが口惜しく、さらに焦りを呼ぶ。
先日、デミオから久しぶりに連絡があった。内容はこの世界の付近で、魔導士が連続で襲われているというもの。それに気をつけろということだった。襲われている魔導士達は魔力をほぼ奪われているらしい。俺にはそんな魔力はないが、注意はしとけよと忠告された。
おそらくヴォルケンリッターで間違いないだろう。
時間はもう残り少ない。その期限であるクリスマスは着実に近づいていた。