第3話 ジャガイモ畑
 幾体ものかかしが木を切り倒し、開いた土地を耕している。理由はもちろん畑を作るためだ。熊に屑鉄カゴがかなわなかったことを教訓に、俺はかかしの数を2体増やしていた。一人でかなわなければ、3体でというわけだ。今回はそのあまった労働力を畑を作るのに使っているわけである。植える植物はジャガイモ。買いおきしていた一kgだ。
 本当はお米を育ててみたいのだが、いかんせん水田なんて上等な代物はできそうにない。それどころか苗さも育てられるか不明だった。そこで考えたのが、ジャガイモ畑である。ジャガイモは荒地に強いという事なので期待だ。
「ふふん、それにもう何の色の呪文でも問題ないしな。
 狩りもできるだろう」
 そう呟き視線を送る先にいるのは、四足であるき地面を彫っている木でできた人形だ。名前は小走り犬という。小走り犬はマナソース能力を持つアーティファクトクリーチャーでどんな色のマナも生み出すことができる。もう、緑の呪文に頼る必要はないというわけだ。
 ぐいぐい
 傍から見たら不気味な笑みを浮かべニヤニヤしていると、ふいにすそを引っ張られた。そちらをみると、小さなのこぎりを持った屑鉄カゴがいる。畑の開墾地を見れば、指示してあるところまで、木は切り取られていた。
「ああ、ありがとう。
 あとは、むこうの婆カカシに木を運ばせるか」
 屑鉄カゴに礼をいうと、屑鉄カゴと一緒に作業していた婆カカシに切り倒した木を集めさせる。別のカカシを生み出す材料や燃料にするつもりだ。つい昨日、節約して使っていたガスボンベが空になってしまったのである。米もあと5kgくらいしかないし、はやく畑にジャガイモが実らないものかと皮算業をしながら、その日はすごしていた。

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